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  • 執筆者の写真矢口洋子

大豆タンパクの優位性 医学博士 小窪正樹

 よく、こんな質問があります。「菜食でタンパク質は大丈夫ですか?」

 このことに関して1985年にFAO(国際連合食料農業機関)と、WHO(世界保健機構)と、UNU(国連大学)によるアミノ酸スコアの見直しが行われました。その結果、アミノ酸スコアでは、大豆タンパク質が最高点の100のタンパク質であることが明らかになりました。

 他の食品と比較してみても、大豆のタンパク質は、牛乳の主なタンパク質であるカゼインや卵白と同レベルで、牛肉などよりも質的に優れていることがわかります。

 閉経後の女性の1035人を対象として、摂取したタンパク質の種類と骨折の関係を見ると、動物タンパクの摂取率が低(植物タンパク五割)の人はほとんど骨折しませんが、高(動物食)の人は著明に骨折することが明らかとなっています。

 高脂血症患者46名を対象として食事療法を行い、卵乳菜食群、卵乳菜食+高脂血症剤のスタチン投与群、タンパク質として卵乳の替わりに大豆およびアーモンドを増量した群の三群に分けて、悪玉のLDLコレステロールや炎症反応の変化を見ると、すると驚いたことに、大豆タンパク群は、スタチン群と同様に悪玉であるLDLコレステロールを下げ、さらに、炎症反応をも抑制することが明らかになりました。その上、大豆タンパク群にはスタチン群に見られたような副作用は一切ありませんでした。

 以上の他に、乳癌との関係について検討した報告がありました。

 乳癌患者5042名を対象に、大豆摂取の多寡と再発または死亡の割合が検討されました。平均追跡期間は三年九ヶ月、その間の乳癌の再発または死亡は534人でした。大豆を最も多く食べていた群は最も低い群と比べ、死亡率が約30%低いという結果で、大豆食品の乳癌に対する有用性が明らかになりました。 

 食物の栄養価はカロリーだけで計れるものではなく、どれだけ豊富に栄養素が含まれるかということが重要になります。



小窪正樹(医学博士)

 1978年、自治医科大学卒業、卒業後は外科医として研鑽を積み、1989年に学位を取得。資格として日本外科学会専門医および指導医、日本消化器外科学会指導医、胸部外科学会認定医、日医認定産業医等あり。現在、北海道の公的医療機関に勤務。


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